家族が認知症と診断されたあなた、
- どう介護すればよいかわからない
- 介護生活を考えるとお先真っ暗
- どうすれば認知症の家族をうまく介護できるか知りたい
こんな悩みはありませんか?
たしかに、
- 仕事や家事だけでも忙しいのに、介護なんてできない…
- 介護施設に入ってもらう金銭的な余裕もないし…
- 認知症の介護って大変なイメージ…
このように感じるのも無理ありません。
でも、安心してください。
認知症ケアには推奨される方法があるんです。
この記事では、厚生労働省が提案する認知症ケアの考えと方法をわかりやすくかみ砕いて説明します。
具体的には次の通りです。
- 認知症ケアの基本理念
- 認知症ケアを知るべき2つの理由
- 認知症ケアのポイント6選
- 無理なく続けるために大切な2つのこと

この記事を読むことで、認知症のご家族とうまく向き合っていけるようになります。あなた自身が穏やかに介護するためのヒントもお伝えします。
認知症ケアの基本理念とは尊厳と個性を守る支援

認知症ケアの基本理念は「その人らしさ」を守ることです。
「できないこと」や「失敗すること」はあるかもしれません。
その中でも「その人らしさ」に寄り添っていくことが、信頼関係を築く第一歩です。
たとえば、昔好きだった音楽や趣味に触れることで表情がやわらぐことがあります。
これは、記憶があいまいになっても感情は残るという、認知症の特徴に基づいています。
心を通わせるケアは、日々の安心感にもつながり、病状の進行を抑えることが可能です。
「言葉がうまく出てこない」、「話がかみ合わない」と感じることがあっても、否定せずに耳を傾けることが重要です。
話の内容よりも、気持ちをくみ取る姿勢が、安心できる関係づくりにつながります。

単に「お世話をする」のではなく、人生をともに歩むような関わり方が求められます。まずは、この考え方を理解することが重要です。
認知症ケアを理解すべき2つの理由

認知症ケアについて理解すべき理由は、次の2つです。
- 認知症の方が安心安心し穏やかに過ごすこと
- 介護者の負担を軽減すること
以下に詳しく解説していきます。
認知症の方を心をケアすることで安心につながる
認知症の方は、記憶力や判断力の低下から、日常生活で不安を感じ混乱しやすいです。
適切にケアすることで、不安を和らげ、心穏やかに生活できる時間を増やすことができます。
たとえば、毎日同じ時間に声をかけたり、なじみのある言葉で対応するだけでも大きな安心につながります。
認知症の方を介護する家族の負担軽減につながる
認知症を理解しないまま介護をすると、つい叱ったり、無理に言い聞かせようとしてしまいます。
負の感情は認知症の方に伝わってしまうので、ケンカになり信頼関係を傷つけてしまうことも。
正しい知識を得て適切なケアの方法を知ることで、感情的な衝突を避けられ、介護する側のストレスも大幅に軽減されます。

介護を「耐え忍ぶこと」ではなく「支え合い」と考えることが大切です。
認知症ケアのポイント6選

ここからは、認知症の方と接する際に意識したい「基本的なケアのポイント」について紹介していきます。
どれも日常の中で意識できることばかりなので、無理のない範囲で取り入れてみてください。
認知症の方のペースに合わせて見守る
認知症の方は、身体機能や判断力が低下し行動や反応に時間がかかります。
家族が急かしたり先回りしてしまうと、本人の自信を失わせたり混乱を招くことも。
できる範囲で見守り「本人のペース」を尊重する姿勢が大切です。
失敗しても責めず、尊厳を守る
認知症の方は、同じ話を繰り返したり、物の場所がわからなくなったりします。
そんなときにも、感情的に責めたり注意したりしないようにしましょう。
否定されることで自信や尊厳が傷つき、かえって症状が悪化することもあります。
おおらかな気持ちで受け止める姿勢が求められます。
ゆっくりとわかりやすく話す
認知症の方は、話を理解するために時間がかかってしまいます。
話すときは、相手の目を見てゆっくりと、短く区切って伝えるように心がけましょう。
難しい言葉や早口で話すと認知症の型を混乱させてしまいます。
一つひとつ丁寧に話すことで、安心して会話ができるようになります。
不安な気持ちに寄り添い共感する
認知症の方は、自分の置かれた状況がわからず不安になることがあります。
「違うよ」と否定するのではなく、「そう思ったんだね」と共感する姿勢が必要です。
不安な感情に共感することで、「この人は味方なんだ」と安心感を与えることができます。
スキンシップで安心感を伝える
認知症で記憶力が低下しても、肌の感覚は残っていることが多いです。
手を握る、背中をなでる、肩に触れるなどのスキンシップは、気持ちを伝えるための有効な手段です。
適度にスキンシップをとることで安心感を届けましょう。
安心して過ごせる環境を整える
- 家具の配置をわかりやすくする
- 段差をなくす
- 危険なものを手の届かない場所にしまう
などの環境づくりも重要です。
危険の少ない環境を整えることで、穏やかに過ごせる時間を増やしてくれます。
ただし、急激に環境を変えることは、認知症の方を混乱させることがあり注意が必要です。
少しずつ環境を整えてあげましょう。
認知症ケアを無理なく続けるために大切な2つのこと
認知症の方の介護は長期戦です。
どんなに愛情をもっていても、ひとりで抱え込めば心身ともに疲労してしまうでしょう。
この章では、無理なく認知症ケアを続けるためのヒントを紹介します。
地域の介護サービスや専門家を活用する
ひとりで何とかしようとせず、地域の介護サービスや専門家に支援してもらうことも有効です。
たとえば、デイサービスや訪問介護、ケアマネジャーへの相談など、使える支援は積極的に活用しましょう。

「頼る」ことは甘えではなく、「継続するための前向きな選択」です
認知症ケアをする介護者がリフレッシュできる環境を整える
介護する人自身が疲れ切ってしまっては、認知症の方をケアし続けるのは難しいです。
ひとりになる時間を作ったり、外出したり、リフレッシュできる環境を整えましょう。
家族や友人に話を聞いてもらうだけでも心が軽くなることがあります。
介護者が笑顔でいることは、認知症の本人にもよい影響を与えるんです。
まとめ:その人らしさを守り、周囲と協力して認知症ケアをしよう
認知症ケアの基本理念は、尊厳と個性を守るために支援することです。
「その人らしさ」を大切にしながら、柔軟に向き合う姿勢が求められます。
「私がちゃんとしなきゃ!」、「なんでわかってもらえないんだろう…」と思ってしまいがちですが、完璧を目指す必要はありません。
「できることを無理なく継続していく」ことを意識しましょう。
そして、認知症ケアを無理なく続けるために大切なことはひとりで抱え込まないことです。
地域や専門家の支援を受けつつ認知症の方をケアすることで、介護を継続することにつながります。
大切なのは、「介護すること」ではありません。
心穏やかに日々を過ごしていくことです。

始めから全てうまくできるわけではありません。
少しずつ実践して、健やかな人生を過ごしてもらいましょう。
参考資料
(1) 厚生労働省、認知症ケアの基本的考え方: https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/gaiyo/k2005_13.html
(2) 厚生労働省、認知症ケア法: https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/000701055.pdf

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